ろじうら小道

日々のつれづれ。

金属アレルギーの話(2)アレルギーを起こしやすい金属、起こしにくい金属

続きから金属アレルギーの原因となる金属類についてのまとめです。

なお、金属アレルギーが起こるメカニズムについては過去記事「金属アレルギーの話(1)原因は何?」で触れています。

【アレルギーを起こしやすい金属】

ニッケル:金属アレルギーの中で最も多いといわれるのがニッケルアレルギー。金メッキの下地に使われることも多く、安価なアクセサリー類やパーツ類の素材としてもポピュラーな金属。アレルギーが悪化すると、お茶や海藻、チョコレートなどニッケルが含まれている食品でも症状が出る場合がある。近年ではニッケルを使用していない「ニッケルフリー」表示のあるアクセサリーなども売られている。

クロム(6価):前記事で触れた通り革製品をなめす際に使用される場合がある他、メッキにもよく使われている。ニッケル同様、身の回りの様々な製品に使われている身近な金属である。ステンレス製品はクロムとニッケル、クロムと鉄を合わせたものが一般的(サージカルステンレスについては後述する)。なお、クロム3値はミネラルとして人体に必要とされる。

コバルト:ビタミンB12の主要成分で人体にとっても必要な金属だが、化学的にニッケルに近い存在とされ、ニッケルアレルギーを持つ人のうち半数はコバルトに対してもアレルギー反応を示すといわれている。

【アレルギーを起こしにくい金属】

チタン:アクセサリー類における低アレルギー製品の代表格で、最もアレルギーを起こしにくいとされる金属の一つ。溶けにくく耐久性もあることから、インプラントやペースメーカー等の人体器具にも広く用いられている。「チタンポスト」表示のあるピアスでも、クロム等が混ざった「チタン合金」であったり、ポスト以外の部分に別の金属が使われている場合があるため、心配な場合は純チタンかどうかの確認をした方が良い。

サージカルステンレス:含まれている金属類の割合を調整し加工することで、金属イオンが溶け出しにくく、アレルギーを起こしにくいように作られたステンレス。メスやハサミなどの医療器具に使用されるため、surgical(外科用)の名で呼ばれるようになった。とても硬い材質が特徴。

ゴールド:金は溶けにくいため、本来はアレルギーを起こしにくい金属とされている。しかし体に開けた穴に直接差し込むピアスの場合はその限りではない。また、水銀に対してアレルギーがある人は金アレルギーを起こす可能性が高くなるという。純金ではなく別の金属が含まれている金製品の場合、その金以外の金属に対してアレルギー症状が出てしまうこともある(24K=金99.9%、18K=金75%、14K=金58%程度とされる)。

シルバー:銀自体は極めてアレルギーを起こし辛い金属といわれている。ただし純銀は柔らかすぎて加工に向かないため、シルバーアクセサリーにはニッケルや銅など別の金属が含まれていることが多い。

プラチナ:プラチナ自体は金と同様に溶けにくく、アレルギーを起こしにくいといわれている。しかし、柔らかいプラチナを適度に硬くするために使用される「パラジウム」という金属によって、アレルギー症状が出るケースがある(Pt900=プラチナ900、パラジウム100の割合で混ぜられた合金)。このパラジウムはアクセサリー関係でよく目にする「ホワイトゴールド」にも含まれている。


この世に「万人が絶対にアレルギーを起こさない食品」がないように、この「金属なら絶対に安全!」と言えるものはありません。

金属アレルギーを起こしやすいと言われるニッケル製のピアスを長時間使用していても全く問題ないという人もいれば、アレルギーになりにくいとされる純金でも痒み等の症状が起きてしまう人だっているのです。そのため「アレルギーを起こしにくい金属」についても、敢えて注意点を付け加えるようにしました。

とはいえ、普通に暮らすうえで金属類を避けながら生活していくことは殆ど不可能に近いですし、恐らく必要に迫られてもいないのにそうしたいと考える人もいないでしょう。

重要なのは必要以上に怯えて忌避することではなく、金属アレルギーに関する正確な知識を得、自身の身体についても知っておくことだと思います。皮膚科やアレルギー科で受けることの出来るパッチテストや血液検査によって、自分はどんな金属にアレルギーがあるのかorないのかを知ることが可能です。

金属アレルギーかも?と思ったら、意地を張らずに医療機関にかかりましょう(戒め)。

※当ブログの管理人は医療・薬学の専門家ではありません。記事の内容が間違っている可能性もございます。ご自身の健康については医師等の専門家にご相談ください。